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飛行機関連

貨物機運航の秘密:知られざる内部構造と独特の運航時間

一般の方は貨物機の運航について目に触れる事はないと思いますので、今日は貨物機の運航の知られざる世界をご紹介したいと思います。

貨物機の内部はがらんどう

貨物便の内部を見る事はないと思いますが、貨物を入れていない状況では画像の様に何もありません。

この中にパレットと言う3m×3m位の一枚の金属の板に貨物を積み上げて固定し、メインデッキの金具に固定します。
このパレットがメインデッキに2列、前から後ろから何枚もメインデッキに積まれます。


パレットに積まれた貨物です。黄色い梯子はメインデッキから操縦席に向かうものです。

搭載はほとんどが機体後方のサイドドアから積まれますが、大きな貨物等は機首部分が上に大きく口が空けたようになりますのでそこから搭載する事もあります。

メインデッキ下の貨物室は旅客機と同じようにコンテナーに貨物を入れて搭載します。

貨物機にはアウトロー的な匂いがする。

貨物機は当然ながらお客さんが搭乗していませんのでお客さんの利便性を考える必要はありません。
そのために貨物便の運航時間帯は旅客便と異なる場合が多くなります。

例えばアメリカ西海岸(ロサンジェルス、サンフランシスコ等)に飛ぶ場合を考えてみます。

旅客便では日本を夕方に離陸して到着は現地時間の昼ごろに着くように調節されています。
これは離陸時、到着時とも公共交通機関が動いている時間を選んでいるためです。

それに対して貨物便は航空路が旅客便で混んでいる時間帯を避けるため、午前中から昼にかけて成田を出発します。
そうすると西海岸への到着は現地時間の未明、午前3時とか4時ごろになります。
当然、旅客便はほとんど飛んでいませんので飛行機の到着は貨物便だけ、だだっ広い税関は閑散として税関職員も誰もいません。
(掃除のおばさんがいる事がありますが・・・・)

到着から税関を出るまで我々をエスコートしてくれるエージェントが税関の事務所まで行って職員を呼んできます。
税関の職員も仮眠しているのか眠い目をこすって機嫌悪そうに入国手続きを行います。

その後も誰もいない閑散としたターミナルを歩いて、ホテルまで送迎してくれる小型バンが待っている所まで行きます。

アメリカ西海岸へ行く場合はこんな感じですが、東南アジアやヨーロッパへも同じように旅客便の運航時間帯を避ける事が多くなりますので行動は上記に近いです。

まるで夜中に人目を避けて飛んでいるようです。

この様な理由でアウトロー的に感じるのですが、一方で旅客便よりプロフェッショナルを感じるのも貨物便です。

貨物便での飲食はセルフサービス

貨物便ではキャビンアテンダント(以下CA)が乗る事はありません。

通常、運航に必要な乗務員だけが乗務しますので、あの大きな機体にたった二人しか乗っていないと言うのは日常茶飯事です。

時々、競走馬を乗せる事もあるのですが、その時は競走馬の厩務員とその厩務員のアテンドの社員が搭乗する事もあります。

また社用で社員が搭乗して来る時もあります。

従って基本的に飲み物や食事は機長、副操縦士交代でセルフサービスにて行う事になります。

飲み物は何種類もの種類が大量にカートと呼ばれる収納ボックスに搭載されています。
飲み放題ですね。

また食事は長距離路線ですとホットミールですので、3人乗務だと大体ビーフ、チキン、和風と3種類乗っている場合が多くオーブンを使用し自分で温めます。

これはこれで自分の好きなものを好きなタイミングで取れるので気楽ではあります。

世界の状況が貨物便に乗務するとわかる?

リーマンショック

2008年にリーマンショックがあり、世界的に景気後退に見舞われましたが、貨物便もその直撃を受けました。

それまでと比べ極端に貨物の量が減り、貨物専門の航空会社も事業計画を見直さなければならない状況になりました。

それから数年後、私は貨物便の貨物の量がそれまでと比べ徐々に増えてきたのを感じました。

世間はまだリーマンショックの影響を引きずっていましたが、やっと景気が上向いてきたのかと貨物の量で実感できました。

貿易摩擦が実感できる。

現在、アメリカと中国は貿易戦争と言っても過言ではない状況になっていますが、アメリカや中国への貨物便の貨物の搭載量によって実態がわかります。

例えば成田から上海行きの便の場合、上海に行く時はほとんど貨物なし、カラで運航する時が多くあります。
しかし上海から日本の帰りの便は満載であることがほとんどです。

その貨物の中には上海から日本への貨物も含まれますが、そのほとんどは日本を経由してアメリカに運ばれます。

従って日本からアメリカへ行く貨物便はほぼ満載状態で運航する事になります。

依然、新しいiPadが発売される時期に香港へ乗務したことがあります。


上記画像の黒い貨物がすべてiPadです。前から後ろまで全部です。

行きはほとんど貨物がなかったのですが、帰りはB747-400Fのメインデッキからメインデッキの下の貨物室までiPadでいっぱい、満載で成田へ向かった事があります。

そのiPadは日本でおろされることなくそのままアメリカに向かいました。

トランプさんが怒るのも分かります。(笑)

搭載されるものは様々

貨物便にはいろいろなものが搭載されます。

馬が搭載される事は記述しましたが、空輸される馬はほとんどが競走馬ですので着陸時には特に気を使います。
馬は木の枠に囲まれて、ずっと立った状況で飛行しますので、出来るだけショックを与えずに着陸するためにAutoLand(自動着陸)で着陸する場合もあります。

最近はあまりないですが、昔は牛を輸送する場合もありました。
過去に牛を積んだDC8の貨物便がアンカレッジで墜落した事故も記憶に残っています。

車を搭載する事も多いです。
画像のスーパーカーは成田から香港へ輸送しました。

世界を転戦しているレーシングカーやレーシングバイクを積む時もあります。
私もシンガポールでF1のレースが行われる時に数台輸送した事があります。

他に大型機械等様々なものが運ばれます。

アメリカ西海岸やヨーロッパ行などは貨物が満載になると、ほぼ最大離陸重量にに近くなりますので離陸時には結構神経を使いますね。

アンカレッジは貨物便クルーのたまり場

昔、日本からヨーロッパに行く場合、アンカレッジから北極経由で行っていましたが、現在ではロシアの上空を飛んでいきます。

そのためにアンカレッジに旅客便が行く事がほとんどなくなりアンカレッジに降り立つのは貨物便がほとんどになりました。
宿泊するホテルは大体同じで、いろいろな貨物便のクルーがホテルのロビーに入り乱れるのは圧巻ですね。

まとめ

貨物機の運航は、旅客機とは大きく異なる運用や環境があり、その中にはプロフェッショナルな要素が多く含まれています。貨物機の運航を通じて見える世界の動向や、多様な貨物の輸送など、知られざる一面が多く存在します。

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