旅客機がどのような高度で飛行するかは、多くの人にとっては謎の部分です。本記事では、旅客機の一般的な飛行高度とその決定要因について詳しく解説します。
旅客機の一般的な飛行高度
旅客機の飛行高度は、様々な要因に基づいて柔軟に設定されます。主に路線、天候、および揺れの状況に応じて最適な巡航高度が選ばれます。
国内線の飛行高度
例えば、東京から大阪へのような短距離フライトでは、一般的には24,000フィート(約7,300メートル)から30,000フィート(約9,100メートル)の高度で飛行します。
この高度帯が選ばれるのは、飛行距離が短く、それ以上の高度に上昇する燃料効率のメリットが少ないためです。
上記の高度は飛行する方向、季節によって大きく変わります。
日本の上空30000ft(10000m)付近には偏西風と言う西風が吹いています。
この偏西風は日本上空では冬場が特に強く、時には200kt(風速105m/s)以上の風が吹いています。
そのため冬場に東から西に飛行する場合(東京→大阪、福岡)、高高度に上昇するともろに強い向かい風となってしまいます。
そのために冬場に西に向かって飛行する場合は低い高度で運航する場合が多くなります。
逆に夏場はそれほど偏西風が強くないので揺れの状況によって高度が決まる場合が多いです。
国際線の飛行高度
一方、国際線では飛行高度の選定にさらに複数の要因が関わってきます。飛行機が上昇できる高度は、機体の重量や外気温、風の状況によって左右され、これらを考慮して最も燃料効率が良い高度が選ばれます。
一般的には、高度が高いほど燃料効率は向上します。
飛行機の重量と高度調整:ステップアップ方式
国際線の飛行機は離陸時、目的地まで必要な燃料と共に乗員、乗客、貨物を搭載しているため、比較的重量が重く、初めから高い高度で飛行することはできません。
特に長距離フライトでは、多くの燃料を必要とするため重量が重く高い高度に上昇出来ないために、飛行初期には低めの高度で飛行、燃料を消費して飛行機の重量が軽くなるにしたがって高度を上げていく方式を使います。
これをステップアップと言います。
但し、2時間か3時間程度のフライトですとその分燃料が少ないため飛行機の重量が比較的軽く、上昇性能に余裕がありますので最初から37000ftか39000ftに上昇し、Step Upをしないで一定高度で目的地の近くまで行く場合が多いです。
ステップアップ飛行の例
例えば、アメリカ西海岸へ向かう場合、初期の飛行は31,000フィート(約9,450メートル)程度の比較的低い高度で始まります。
飛行が進むにつれて燃料が消費され、飛行機の重量が軽くなると、33,000フィート、さらに時間が経つにつれて37,000フィートや39,000フィート(約12,000メートル)まで徐々に高度を上げていきます。
飛行機の最大上昇限界
飛行機の性能だけを考えた場合、各機体には上昇限界が存在します。
たとえば、ボーイング747(ジャンボジェット)の場合、上昇限界は45,100フィート(約13,700メートル)、ボーイング777では43,100フィート(約13,100メートル)とされています。
但し、いつでもこの高度に上がれるかと言うとそうではありません。
すでに書いたように上昇できる高度は重量によりますのでこの高度に上昇するためにはかなり重量を軽くしないと上昇する事はできません。
フェリーフライトと高度限界
たまにチャーター機などで片道は満席で行き、帰りは乗員のみで帰る時があります。
これをフェリーフライトと呼びますが、この時は限界高度まで性能上、上昇出来る時があります。
これらのフライトでは、飛行機は限界高度近くまで上昇することが可能ですが、通常の商業フライトでその高度に達することは稀です。
実際の運航では、最高でも43,000フィートまでが一般的で、それ以上に上昇することはほとんどありません。
私も45000ftに上昇したことはありません。
高度がもたらす影響
高度が高くなると気圧が低くなり、空気が薄くなるため、疲労が増し、乗務員にとっては過酷な環境となります。
また、限界値に近づくとやはり気持ち悪いものです。、飛行の安全性と快適性を保つためには、高度を適切に管理することが重要です。
まとめ
旅客機の飛行高度は、燃料効率、飛行距離、機体の性能、および外的条件を総合的に考慮して決定されます。これにより、安全かつ効率的な航空運行が実現されています。