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飛行機関連

悩ましいシートベルトサイン オン・・・?!

飛行機に乗ると安全のためにシートベルトを締めなければなりませんが、実はこの運用はパイロットとして非常に悩ましい時があります。

まず通常の運用は次の通りです。

飛行機に搭乗してシートに座った後、まずシートベルトを締めると思います。

離陸と着陸は当然安全のためにベルトは締めたままですが、通常、安全上問題が無ければ離陸、着陸とも大体10000フィート(約3000m)でベルトサインをオンオフにする事が殆んどです。

10000フィート以上で雲や風の変化により揺れが予想される場合はその高度まで離陸の場合はオフを遅らせたり、着陸の場合はオンを早めたりします。

ここまではルーティンの仕事なので悩むことも無いのですが、パイロットして悩ましいのはベルトサインをオフにした後です。

ご存知の通りベルトサインがオフになると客室乗務員は飲み物や食事サービスを開始します。

サービスを一度開始するとギャレー(飛行機の真ん中や後ろにある飲み物や食事を収納している場所で配膳準備スペースとなる場所)の中はカート(飲み物や食事が入った箱)を固定位置から出し、サービスの準備をします。

国内線であれば飲み物サービスだけですので良いのですが、国際線になると飲み物サービスから始まって食事サービスが終わるまでに2時間くらい、ファーストクラスがある場合はさらに1時間、約3時間以上かかります。

問題はこれらのサービスを行っている時に予期しない揺れがあった場合です。

一度、シートベルトサインを点灯するとサービスの準備をするためにギャレーから搬出したカート等はすべて固定位置に戻し、サービスの始まる前の状態にしなければなりません。

これは客室乗務員にとっては非常な手間になる事ですので出来れば避けたい事です。

ですのでわれわれパイロットは揺れが始まるとまず最後尾の客室乗務員に連絡を取り、サービスが出来る状況かどうか確認します。

なぜ最後尾かと言うと飛行機の重心から一番離れている最後尾が一番揺れるからです。

もし最後尾でのサービスが出来ない状況であれば、チーフパーサーに連絡をしてサービス中断を指示し、ベルトサインを点灯することになります。

揺れがどのくらい続くかある程度分かれば、たとえば「これから15分くらい」と目安を言うこともできるのですが、予期しない揺れの場合ははっきり言ってパイロット側でも良く分からない事が多いのです。

フライトタイムが長い長距離の国際線であれば時間に十分余裕があるので、ある程度待ってもらうことも出来ますが、中国線のような3時間前後の飛行時間の場合、食事サービスまで行うフルサービスを行う時は時間との勝負です。

一度展開したサービスを撤収させるのも気の毒ですし、さらに時間の無い場合は客室乗務員も気が気ではありません。

そのような気持ちは痛いほどに分かるのですが、お客様に怪我をさせてしまうのは絶対に避けなければなりません。

私達はそのようなジレンマの中でベルトサインをオンにする事が結構あるのです。

パイロットは一度離陸すると、揺れに対して注意を払うことが主な仕事となり、揺れが始まった場合、ベルトサインを点灯するべきか、このまま点灯しないでいけるのか常にジレンマとの戦いの中でフライトをしていくことになるのです。

ちなみに前方に揺れそうな雲がある場合や先行機により揺れる事が分かっているような時はチーフパーサーに「あと何分で揺れが始まり何分間ベルトサインを点灯する」とある程度目安を伝えることが出来るので、客室乗務員も計画的にサービスを行うことが出来、急な揺れによる場合よりは気分的に少し楽になります。

ですのでサービスがすべて終わると客室乗務員は当然ですが、私たちパイロットもホッとするのです。

裏事情ですが、私は貨物専門の航空会社に所属したこともありますが、貨物機の場合には、飛行機が壊れる程の揺れで無い限り、揺れに対してあまり気を使うことはありませんし、お客様とのトラブルも皆無で、旅客機に比べて同じ給料を貰う事が申し訳ないくらい何倍も仕事が楽でした。

その中で貨物専用の航空会社で育った若い副操縦士は旅客機に憧れ、旅客機を運航する会社に移籍したがるのですが、私のように旅客機を経験した者から見れば敢えて苦労しに行くようなもので「やめなさい苦労するだけだよ}と言いたくもなります。

とは言ってもエアラインパイロットとしての花形は旅客機であることには間違いが無いので、経験の無いものは一度、CA(客室乗務員)と共に旅客機で飛びたいと言うのも理解できますので仕方ないと言えばその通りかもしれません。

以上、本音の部分でした。

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