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飛行機関連

行きはよいよい 帰りはこわい?

今回は冬場、日本とアメリカを往復する時の話しです。

冬場に日本からアメリカ、たとえばサンフランシスコを往復した場合、行きは8時間前後で着いたのに帰りは11時間近くかかっという経験はありませんか?
ホノルルも同じで行きは6時間前後、帰りは9時間前後と言った具合です。

これは日本の上空から太平洋上に吹いている偏西風(ジェット気流)の影響によるものです。

偏西風は年中吹いていますが、吹くコースや強さは季節や高度によって違います。
冬場は台湾の方から北に上がって鹿児島の近辺で西にコースを変え、太平洋上をアメリカに向かって吹くことが多いです。

特に冬場の偏西風は強く、飛行機が飛ぶ対流圏の上空では毎時200kt以上(360km)の風が吹いています。

飛行機はこの風を利用したり、避けながら飛行計画を立てます。

アメリカ行きは偏西風が追い風になるので対地速度を稼げるように、なるべく偏西風の強い場所を選んで飛行します。
燃料節減のためです。

たとえば毎時250kt(450km)の追い風の偏西風の中を飛行している場合、飛行機の対気速度(空気に対する速度)は大体ジャンボの場合毎時480kt前後(864km)ですが、飛行機は後ろからさらに250kt(450km)の追い風を受ける事になります。
その場合、対地速度(地面に対する飛行機の速度)は480kt前後(864km)+250kt(450km)=730kt(1314km)にもなります。

この1314㎞と言うのはどのくらいのスピードか想像をできますか?

音速はどのくらいでしょう?
音速は標準大気で毎時1225㎞です。

実は軽く音速を超えているのです。

ここで勘違いしないでもらいたいのは飛行機が音速を超えているのではなく、あくまでも対地速度が超えていると言う事です。
飛行機は空気に対する相対速度で飛んでいますので、あくまでも計器上は毎時480kt前後(864km)です。
250kt(450km)の追い風の中を毎時480kt前後(864km)で飛んでいると言う事です。

この250ktの偏西風はかなり強い方ですが何度か経験があります。
対地速度が音速を超えたぞ!なんて副操縦士と喜んでいたりします。

飛行機が音速を超えると衝撃波によってドカ~ンと大きな音がしますが、この場合は当然ですが何も起きません。
計器上、対地速度(GS・・・Ground Speedと言います)が、音速を超えるだけです。

燃料は節減できるし、早く着くはでいいことづくめですが、一つ気をつけないといけないことがあります。

この強い風の周りには必ず乱流があるのです。(川の強い流れの周りには渦が巻いていると思いますがそれと同じです。)
この乱流による揺れが良く言われる晴天乱気流(CAT・・・Clear Air Turbulence)と言うものです。

偏西風(ジェット気流)の周辺やその流れを横切るようなときには特に注意が必要です。
昔は晴れ渡った中で急に大きな揺れになるのでPilotとしても厄介なものでしたが、今では航空気象予報も発達しているのでそのような場所もあらかじめ予報されていて、予めベルトサインを点灯したりして対応しています。

アメリカからの帰りはこの風をまともに正面から受けるとかなりの時間と燃料を消費しますので、できるだけ偏西風が弱いところを選んで飛行します。
アメリカからだと太平洋上は強い向かい風の偏西風が吹いていますので、かなり北に迂回してアラスカのアンカレッジの近辺を経由して飛行する場合が多いです。
また画像のよう偏西風の下を飛び、なるべく高度を上げない時もあります。

夏場はかなり弱くなりますが、それなりに偏西風は吹いていますので行きと帰りの時間が多少違うのは冬場ほどではないですが同じです。

飛行機が空気の中を飛んでいる以上、風の影響を受けるのは宿命ですね。

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